白いラインの模様入り、黒っぽい大きなクッキーを暖炉の上の籠から取り出す....他にもツリーに飾られたレープクーへンに数個の丸い飾りの玉、玉の中には、丸い形の菓子 「あ!可愛い♪暖炉の上には、ジンジャークッキーで作ったお菓子の家も置いてあるね」 「葡萄ジュースを温めた物だけど…飲むかい?」「ホットミルクやショコラもあるよ」 「おや、また来たな…」ニッと悪戯っ子のような笑顔を見せて、老人が子供達に話し掛ける「お爺さん」友達の一人が声をかける「また、パリ万博の話が聞きたいよ」 「そうか、チュジニア館の象や踊り子の話か?「それとも日本館の話が聞きたいか? サダという美しい日本国の女優も観た」「東洋のジャパン、美しいサダの夫、ミスター音二郎の舞台」 「道が動く話は本当なの?」 「通りの一角のほんの一部だがね」 「いつもカフェで美味いカフェオレにバタークリームたっぷりの菓子を食べたよ」 「世界で一番古いカフェにも行ってきた」 「先日、見せると約束したパリの絵葉書だ」そこには、パリの街の絵が数枚に 女性のモノクロ写真に色塗りしたもの「変わったドレス?」「ジャパンの着物だそうだ」 「同じ着物みたいだけど、こちらの分は、バレエのダンスの衣装風にアレンジされてるね 袖の辺りを波型にしたり、手を加えてる」 「大きな帽子と素敵なドレス」 「若い頃は、絵の勉強と村のワインを売る仕事で、よくパリを往復したものだがね」 「ほら、これはミュシャのポスター 伝説の女優サラ・ベルナールの舞台の分」 祖父は、それは愉しげに…麗しき時代のパリの話をする。「子供たち、ほら、とっておきだよ」おばさんが笑いかけながら 薪の形に似せた ロールケーキにナイフを入れて切り分けるフランス風のブッシュノエルそれから、いつものシュートレイン夜には焼き立てパンにキッシュにビーフシチューが待っている。楽しい時間 家の暖炉は暖かくて、美味しいクリスマスのお菓子や飲み物に雪に包まれた森の木々、そこにいたのは、綺麗な歌声を持った少女メアリー彼女が隣に座り、僕に微笑んでくれた。淡い琥珀の瞳が僕を見つめている。 ドギマギして、自分の頬が赤くなるのが、わかるけど…慌てて貰った熱い飲み物を飲んでむせかえる僕だった。「大丈夫?」 「平気!大丈夫!!大丈夫!!」 「私もパリ万博
「20年前からメアリーは、あの少女の姿のままだ」 「最初に会った時には、この村に来て一緒に聖歌隊で歌を共に唄っていた ワシの方が少々背が低く会うときには、厚底の靴を履いたもんさ」 「次に会った時には、二十歳過ぎの時、パリの街角だった」 「彼女はこう言ったさ」「私を誰かと間違えておられるのかしら?」それとも叔母かお祖母さんによく似てると言われるの なんて・・ね、 ハンス、明日の向こう側で、また会えたわ」「そういって、 彼女はにっこりと笑いかけてくれたよ」 シュ…と、パイプにマッチで火をつけて、お祖父さんはゆっくりと煙を漂わせる。 「パリでは、馬車に跳ねられそうになった所を助けてくれたよ他にも何度も危ない所を助けてくれた 不思議な少女さ」お祖父さんの言葉通り皆があのメアリーの事を忘れていた…「また会えるかな」「会えるさ」お祖父さんは言ったそれから月日が過ぎ去り…第一次大戦僕は部隊に入り戦地に向かうみんなは…僕らは戦争の事などわからずにまるで、呑気に陽気に戦地に行った。砲弾が飛び交い掘った穴に入り、銃で闘う雨や雪で寒さに震えただ必死で…包帯の巻かれた傷口はズキズキと痛むライフルを握り 意識が遠くなりかける。「ヨハン」懐かしい少女の声彼女がそっと傷口に触れる「メアリー」いるはずのない少女何故そこに!彼女は微笑んで立っている「まだ、そのマフラーを持っていたの?」彼女がくれたマフラーを指さす「少々くたびれて、汚れてるわ 新しいマフラーに手袋よ」「ねぇ今日はクリスマスよ、あの頃、歌った歌の1つ」彼女は静かに‘‘きよしこの夜‘‘を謡だす僕もその歌を謡だすすると…他の兵士もつられたように同じく‘‘きよしこの夜‘‘のメロディーを歌う不思議な事に 皆が‘‘きよしこの夜‘‘を合唱して…戦地に歌声が響き渡る風に流れて この曲に呼応して返礼を返すように 向こう側の兵士もこのクリスマスの曲を謡だすやがて豪から出て 皆が敵も味方も手を取り合う今、この時だけは…「メアリーがいない 女の子がいなかったか?」「? なんの事だ?誰もいないよ」他の兵士が答える残されたのは傍に新しいマフラーと手袋それはクリスマスの奇跡と呼ばれた出来事の日人の世に平和と慈しみと優しさがあります事を…メリークリスマス
それは…ダーク・ムーンの闇夜だった贄、生贄にされた私は 私は逃げ出して闇夜の紫水晶の森の中を彷徨っていた。「私の花嫁 何故逃げる?」「逃げないで僕の花嫁」遠くからの声 闇の国の主 彼の声怯えた私は、その声に身を震わせる…ああ、あの魔物の花嫁にされるのだ。白き髪に深紅の瞳 吸血鬼の男 貴族の華やかな衣装が良く似合う花嫁、飽きたら、私は…ああ、私は……「誰か助けて」と泣き叫ぼうと 誰も助けてなどくれない彼は...この地の支配者でもあるから機械仕掛けの鳥たちが鳴いて、美しい声で歌を奏でているようだった。ほのかに発光して、淡い光を放つ水晶の森の中....黒い花嫁衣裳で....住んでいた村の者達から差し出された私「いた、痛い」靴の片方が壊れて、水晶で足を怪我してしまった痛みをこらえながら私は逃げ惑う聞いた話がある、近隣に世捨て人の魔法使いがいる、もしかして私を救ってくれるかも知れない「ああ、馨しい(かぐわしい)乙女の血の匂いなんて誘惑的な香りだろうか?」吸血鬼の笑い声にうっとりとした声が聞こえてくる私の血..... 私に執着する吸血鬼後少し 昼の国へのゲート、門まで....あそこへ行れば......手を握られて....「ああ!」「ほら捕まえた!私の花嫁」「可愛いね 黒いベールを落としていたよ」そう言って吸血鬼は私の首すじに牙を立てるのだった。作品登録 25.2.17
それはまだ第二次大戦が終わり、間もない頃のちょっとした話欧州で生まれアメリカにいる友達夫婦に預けられた幼い姉妹 ユダヤ人の幼い姉妹実の両親はどうなってしまったのか もう分からないままだ 旅券が手に入らなかったらしく‥消息は不明「パパ~ママ~」まだ幼さの残る妹はニューヨークのロックフェラーの大きなクリスマスツリーを見ながら笑っているツリーの電飾の飾りが夜空の下でキラキラと‥「お父さん、お母さん」「シャーリイ、エリー ねえコーヒーとドーナッツを買ってきたからみんなで食べましょうね」義理の母となった人が優しく笑う「仕事が忙しかったが、ようやく取れたクリスマスの休暇だよ、楽しく過ごそう」義理の父も楽しそうにしている「家に帰ったら七面鳥 を焼いて、ローストビーフにはグレービーソースをたっぷりとポテトにニンジンにそれからシュトーレンに苺のケーキに‥コーラにクランベリーのジュースもある」義理の父の言葉「ふふっ お父さんが好きなアップルパイにホワイトシチュー、シエパードパイもよ」義理の母の明るい声「ママのおばあちゃんから代々伝わったシュトーレンもね」ウインク一つ「わ~い」兎のように飛び跳ねる幼い妹 妹の頭を優しく撫でる義理の父「サンタさんに何が欲しいか決めたかい?ヌイグルミかい?それとも新しいドレスや手袋かな?」記憶の中にある別れ際の実の両親の泣きそうな笑顔 少なくとも私達は生きて‥優しい両親の友人夫婦に愛されて‥欲しいもの 一目だけでいい実の両親に一言だけ伝えたい「愛してます、大好き」言葉には出せない 本当のお願い‥ふんわりと義理の母が私達姉妹を抱きしめる「大好きよ二人とも、私達の元に来てくれて有難う」ひらひらと雪がそっと降って来るメリークリスマス 24 .12.10
皇帝ナポレオンの時代 あるちょっとした豪奢な屋敷 パリにある屋敷「フランス革命をよくぞ我ながら生き延びたものだ」「ええ、本当に」 とある調香師 ジャン・ルイ・ファージョンが自分の家族らとお茶をしながら話し出す「私は王妃様のご用達の店の一つだった」 ため息が一つ 「王やマリーアントワネット王妃様、義妹姫は断頭台の露 ご友人で女官長だったランバル公妃は群衆に虐殺され槍に首を掲げられた」「・・・・・・」「マリーアントワネット王妃のお気に入りの香水 私が作ったものだよ 王妃は風呂好きで花の香り好んだものだ だからそれらをもとに調合した 「花の破壊」に「ヴィーナルの油」 プチトリアノンをイメージした香水」「イリス(アイリスの花)に菫(スミレ)に薔薇などの花の香を中心にしたもの ラベンダーに白檀(びゃくだん)も合わせて‥」「王侯貴族などは鯨(くじら)から取れる龍涎香(アンバーグリス)などが好まれたが‥」「そう、ルイ14世陛下の頃などは東洋の麝香(じゃこう)に龍涎香(アンバーグリス)を使ったもの ムスクなどの強い香り」 「マリーアントワネット王妃が亡くなられたが 最近自然な花々を中心にした香りだ 流行りの香水は あの頃マリーアントワネット王妃が好んだもの」「ドレス 今の時代は遠い古代を思わせる衣装(エンパイアスタイルまたはアンピール様式)シュミューズ・ドレス イタリアのポンペイ遺跡も出土して 皇帝陛下が以前に遠征に出られた影響だろう」 「アントワネット王妃の時代はロココ様式 シルク製のリヨンで作られたもの 貴婦人はパニエで裾を広げコルセットを絞めたローブ・ア・ラ・フランセーズ 紳士はアビ・ア・ラ・フランセーズ」 「皇帝陛下のお気に入りの香水」 「香水、ナポレオン陛下の場合はベルガモンドを主体にしたオーデコロン ドイツの『ケルンの水』が大のお気入りだ わざわざドイツから取り寄せている」ジャン・ルイ・ファージョンは紅茶に蜂蜜をたっぷりと入れ 紅茶の甘いハーモニーを楽しみ 焼き菓子に手をのばす「菓子のマカロンも欲しいが ああ、食用の菫(すみれ)の砂糖漬けもいい」「はい、旦那様」「ドイツの『ケルンの水』あれは18世紀に作られたもの 画期的な香水だ 爽やかな柑橘系の香り ベルガモット
最後の公式とされた寵姫、それが彼女王の恋人として外交の表舞台で大貴族に各国の外交官達とも言葉を交わして、舞踏会での華やかな踊りを披露する。だが、彼女の生い立ちは…私生児として生まれ、修道院でそれなりの教育の後で…お針子として店に雇われたのだが、金の髪に鮮やかな青の碧眼…その美しい美貌と人の良い優しい気質ゆえに男に騙される事が多かった。「あん、そんな いけませんわ 旦那様」「ジャンヌ・マリー・べキュー…私は可愛い君に夢中なんだ、青い瞳に美しい金の髪、それにしても、なんて綺麗な子だ」私がね、お針子として勤めていた店 ええ、もちろん ちゃんと仕事してましたわ でも、ご主人やご子息が何故か私に夢中なの父のない子として産まれた私 一時は家出していた母が再婚して 修道院で勉強もして お針子として就職でも‥ちょっと綺麗な子だったから うふふで‥結局 女主人 洋裁店の女主が怒って私を追い出したの まあ、夫や息子が私に夢中になったからって‥ちょっと不条理。アンリ・サムソン、それが俺の名前俺の仕事は仕事は拷問に死刑執行人。 金はあるが人に嫌われる仕事 これから愛らしく綺麗な優しい、お人よしの元お針子との束の間のデートをする 「これから、どうするんだい? まだ あの不良貴族のカジノの店務め? ジャンヌ・マリー・べキュー」 「まあね アンリ デユバリー子爵は不良であまり良い人とはいえないけど 私には優しいわ」 「お前にあいつは‥」「何?」「お前は気立てもいい、とても優しくて若くて綺麗だ、もっと相応しい場所があると俺は思う」「奴等はお前を玩具に…夜の仕事を」 「アンリ、ありがとう」「デュ・バリー子爵達のお陰で暮らしには困らず、貴族のレディの作法も教えてもらっているわ」明るい彼女は笑う「‥俺は少々、金はあるが俺の仕事は処刑人だ、こんな俺だが……」「だけど俺はお前の事が好きだ」「え?何?今、馬車の音と馬の声がして、良く聞こえなかったわ」「いや、きっと素晴らしい幸運が待っているさ、 辻裏の当たるって評判の占い師が言っただろ?」 「お前の出身の村は あの英雄でフランスの守護天使ジャンヌ・ダルクと同じ村だったか」「うふふ 有難う アンリ」「俺が人に嫌われる死刑執行の仕事をしていても、お前は気にもせずに優しい」「アンリ・サムソン…私は貴方
後少しだけ…二人の逃避行が早ければ火山は噴火して、街中が大騒ぎ、剣闘士の控えの部屋で崩れた柱に足を取られ、剣闘士の男は身動きが出来ない「先に逃げて下さい、必ず追いつきます」「駄目よ」若い身なりの良い女性が泣きじゃくる。彼女の姿はかなり上流階級の服装「ずっと、貴方に会いたかった」「姫…」「貴方は私の家で仕えた奴隷だったけど」「父に売られ、二度とは会えないと思っていた」「私は父が選んだ男、彼の妻になった…愛の無い冷たい男、それが夫」「貴方と私は幼い頃から過ごして…」地震に火山の噴火で再び街が…建物が揺れる。建物の崩壊が始まる。「愛しているわ」「愛してます姫」ほんの少し前までは穏やかな日常の風景 南イタリアのナポリ近く そこは悲劇の地としても知られるポンペイバール(酒場であり食堂)では人々がワインにパン(丸く、平たいエンメル麦)大麦の粥に食事を楽しんでいた チーズに果実、牛乳もある 肉の種類も以外と多い 魚も良く食べられて 魚醤に似た調味料なども「パンが焼きあがったよ」 「スープをくれるか?」「あいよ」石を敷き詰めた道で人々が行き交う 歩道と馬、荷物を運ぶ車道が分離した道 歩道として飛び石上に突き出たものもある「ちょっと狭いよね」「そうねえ」古代ローマ時代の水道橋から流れ込む水 下水道システムも完備されていた お手洗いでは 仲良く並んで穴の開いた石の上に座り 用を足す 下は下水道で絶えず水が流れて 人々は海綿のついた棒を使っている公衆浴場でも 人々は盛んに会話を交わしている 古代ローマ時代は いわゆるテルマエロマエが盛んな時代でもあった野外闘技場 「剣闘士のこの前の闘い良かったぞ」「ああ、俺も見た」 「あの有名な剣闘士 貴族の奥方が来てるらしい なんでも‥」「収穫されたレモンだが」「予想よりも今年は多かった」洗濯を引き受ける店では 奴隷たちを使って集まった汚れ物を洗っている 「急いでおくれ」「はい、旦那様」「わかりました旦那様」いつも通りの平和な日常のはずだった その時までは‥「お、地震だ」「今年も多い」「う、あれは‥」「ヴェスヴィオ火山が!!」人々の悲鳴が辺りを包み それから・・悲劇が訪れ ポンペイの繁栄は終わったのだった
夜の静寂(しじま)に 魔物の女が‥ あの夜‥あの夜は一夜の夢 魔物が見せた夢だった愛しい人の微かな声 囁くような優しい甘い蜜のような声 それは 戻れぬ時間 心地よい記憶の中の切ない思い出 白い裸体の女が服を脱ぎ捨て、それは妖艶な笑みを浮かべていたのだった。中世の欧州 船の上で鷹一羽が大空を舞っている「良い天候が続いている 良かった どうにか無事に目的地に着けそうだ」船乗りが笑うそれから 船の中に乗客たちの中にいる騎士たち 彼等は穏やかに会話をしていた「騎士団からの頼まれたもの スペイン帝国の王であり、皇帝に鷹を一羽、届ける大事な職務」「彼等は仕方なく、私達に職務を託した 彼等の居住地での籠城、戦争中だ」 「この時代、多くの戦い、戦争 まだ戦いは続くだろう」 周りの者達が深くため息をつく、あるいは十字を胸元で描く。「我らは騎士だ‥戦う運命だ 何処の騎士団だろうと役割を果す」「今回は大事な届け物が任務」 運動の為に空に放った鷹を見る騎士達見上げると紺碧の空を優雅に鷹が舞っていた。「幾つもの騎士団か 騎士団は戦争で必要とされている」 「あのチュートン(ドイツ)騎士団はイエルサレムから去り 新たに東方に根をおろしたが」そのように騎士が呟くように言う「他の騎士団 あのテンプル騎士団は気の毒だった」 「ああ、そうだな」 「エルサレムでソロモン王の神殿跡を守ってきた 数々の戦いの末 辿り着いたフランスでの悲劇」 「今回は民間の船での移動 騎士たちの船でないが まあ、そう悪くない」「病に落ちたマルタ騎士団の騎士に代わり、鷹を預かりスペイン帝国に届ける役割か」 「今回は御蔭で、代わりにスペイン帝国の皇帝に謁見も出来るというもの」「いや、スペインにいるマルタ騎士団の屋敷に数人いるらしく、彼等に届けるのみだ 残念だがな」 「なんだ、そうか」「今回の籠城戦、戦争 どれだけの死傷者が出るというのか」 神妙な表情で騎士達が頷いた。口笛を吹く騎士の一人 それは合図。 飛び疲れた鷹が答えてゆっくりと飛行を終えて決められた通り 騎士の腕へと降り立つ「飲み物はいかがでしょうか?騎士さま達」声をかけられる。「皆さま 連れてきた鶏を先程 調理しました それに塩着けの魚の方も調理して、ご準備が出来ています」老女のリアが話かけた
「僕の可愛い人、眠れる白雪姫さん、寝顔が今日も可愛いね」 宇宙飛行士の男が微笑む 愛しい恋人はコールドスリープ装置の中で 冷凍保存中 「愛しているよ、君が目覚めるのは百年と三日後の予定、移住する惑星まで百年か…」 コールドスリープ、未来のテクノロジー 亜空間移動、ワープ航法が出来る…前は 宇宙船が長い時間、数十年、数百年の歳月をかけて 移動しなくてはならなかった。 或いは未開の惑星で大きな怪我などで 宇宙船、または設備の整った医療機関に運ぶ前、一時的に 身体の治療をする為に身体を冷凍保存する事も 良く、使われたのは 移住する惑星への移動、数十年、数百年の歳月を かけて、多数の人達、動物などを 冷凍保存して、宇宙船で運ぶ。 一人のサイボーグ、半機械化された人物が 恋する人を、冷凍保存された恋人をまた眺めていた。 それは愛しく、切なく 「録音の君の歌声は最高だよ、もう1000回は聴いたかな?」 「早く君の歌がまた聞きたいよ」 サイボーグとなったのは宇宙飛行士 移民船、移民の宇宙船を操縦する為に 彼は半機械化してサイボーグとなった男 「まあ、君と同じく冷凍保存でも良かったけどね」 軽く装置、顔の部分にキス 「優秀な宇宙船の宇宙飛行士だから、仕方ないさ」 静かに深淵深き闇色と星達の輝きに包まれた宇宙空間 その中を宇宙船は飛び去ってゆく。
銀の髪をした美しい女性が歌を歌う彼女はシルリラ、バードと呼ばれる吟遊詩人激しい戦いの歌、切ない恋の歌、穏やかな失われた故郷の歌を…。「まだシルリラは待っているのか?」兵士の一人が呟く「ああ、死んだ事を受け入れずに 生きて戻るのを信じてる可哀そうに」「彼は 貴族の二男 美形で 本当に良い奴だった残念だ美しいシルリラと並ぶと まるで美しい絵のようだったあんなに互いを深く愛し合った二人なのに」シルリラは歌う「戦の嵐が吹き荒れる この大陸の覇者は一体誰? 果てない戦 いつか終わりが来る我らが主たちの勝利を祈り 信じて我らは戦う勝利の為に 愛する者たちの為に♪」リュートと歌の調べが終わり酒場には 拍手が起こるシルリラはそっと目立たぬように彼女は休憩の為に酒場の隅に座り食事を取っている。そこに「シルリラ いい歌だったよ」「アライア 有難う 嬉しいわ」「俺の兄の事は もう諦めた方がいい」「・・・・」悲しそうにうつむくシルリラ「俺も戦に出るギデオン様やイーサン様達の為にお役に立ちたくて」「ねえ、貴方も行くのね」「俺が無事に戻れたら・・俺との事を考えてくれないか シルリラ?」「アライア」「愛してるシルリア」「・・わからないわ でも・・貴方の事がとても心配よ 行って欲しくない戦に出なくても 幾らでもお役に立てるのじゃない?貴方の兄ハンソンもそうだったどうして私の大事な人は戦に行きたがるの?」「泣かないでくれ、すまない騎士として生まれ、この大事な時に自らの身や命を捧げるのは兄ハンソンも俺も同じだ」「考えてみるから、必ず帰ってきて」「約束する」その後の事である。アライアの行った戦地が激戦だと聞きシルリアは不安と悲しみで涙したのだった。そんな気持ちを押し殺して 吟遊詩人としてただ歌い続けている無事にアライア達がやがては…戻るって来ると信じて
再会の言葉‥「やあ元気そうで何より」「ふふ‥これからもよろしくね」思い切り顔をしかめて言ってやったのだった。「知るか!この馬鹿野郎おお」と怒鳴ってみました。数年前に直接、会う事もなく、ネットのゲームで知り合い パーテイを組んでそれから・・日常と非日常の世界の境目でゲーム世界の冒険を看破してリアルで会って驚いた。小学校で同級生だった秋里、秋里 翼ネットで知りあったのは同級生!同じ学校の同級生だった!「元気に会社員してるのか、子供時代はあんなに可愛かったのに」彼女の言葉に「悪かったな、おじさんになって‥どれだけの指月がすぎたと思っているだよ」俺は答えた。「あははっ、そうだね、本当に久しぶりだ」「また、ネットゲームしようよ、一緒にレベルアップしょう、それから新しいネットゲームもあったら」そんな彼女の言葉に笑顔にそう、屈託のない彼女の笑顔懐かしい学生時代の彼女の顔、笑顔と重なる俺の頬が何故だか少し赤くなって、横を向いたままぶっきらぼうに答えたのだった。「ああ、お前に付き合ってやる」「わぁーい、ファンタジー系が良いかな?それとも未来宇宙系?それとも…?」数年後に気がつけば、結婚式捕まえたのは彼女か俺か?とにかく、彼女の笑顔はいつもお日様のように素敵だった…料理はイマイチ、俺の担当
昔の頃のただの小話・・悲しい哀れな小話あらゆる国で起きた悲劇の歴史の一つなのかも知れない。例えばスルタンの後宮拐われた者、戦争や略奪で連れ去れた者奴隷市場で売られた哀れな女たち明日をも知れぬ異国のハーレムに連れて来られた娘達は売られて奴隷となった娘達のささやかな、僅かなわずかの望み・・そうして、女たちは僅かな希望の糸をたぐろうと教えられた占いで明日のおのれの姿を映し出すコーヒー占いコーヒー占い・・占いに映したされたのは幸運を得た自分か哀れな自分か?滴の後先で、占うたわいのない遊びに耽る・・主の気まぐれで明日はどうなるか分からない我が身・・あるいは、主の妻に疎まれ、何処で殺される事も主あるかも知れない奴隷として売られて来た我が身の嘆き古里も家族も友にも会う事なく、戻る事さえ許されずに奴隷としての哀れな女の一生を終えるのみわずかな希望そう、僅かばかりのわずかな、女達のそれは、ささやかな望みは何なのか・・明日の我が身はどうしている事だろうか・・時に嘆き、時に思わぬ幸運に恵まれる者次のスルタン、皇帝の子供、スルタンの母に富と疎まれ殺される者暗い場所に送られ嘆き歌を歌う者海に沈められた罪人とされた者たち明日の行方など誰が知る?明日の行方それは今も大昔も変わらず人は時に流され生きるのみ
ザァザァと降りしきる雨、雨、重い濃灰色の空灰色の雨降りの空、街行く人達を眺めながら喫茶店で…あの人を待つ分かっている、理解している、あの人は来ない来るはずもない事などでも…でも、私は…私は…待っている。いつものコーヒーにチーズケーキを注文していつも通りに…あの人を待つの。………………分かっているわ でも待っているの待っている 待っている‥あの人は来ないけど待ち合わせだ場所だった喫茶店 いつも通りのコーヒーにケーキを注文する外の風景 窓辺の風景は雨が降って 道行く人が色とりどりの傘を差して 雨に濡れる花のようにも見えたあの人は来ない‥ 昔は遅刻の常習犯の彼がお詫びにおごってくれるの常だったのだけど太陽みたいに明るく朗らかな彼の笑顔いつも、私はつい、つい、簡単に許して上げるのだけど‥雨降りのある日、子供を庇ってトラックが彼を‥だから‥もうあの人は来れない雨降りのこの喫茶店 思い出記憶の中では いつも楽しそうに笑う彼の姿が目に浮かぶ 思い出ばかり あの人の姿は記憶のまま 年を取ることもなく やがて薄れてゆくのかな そんなことさえ考えるああ、降りしきる雨音の中で、雨降りの喫茶店の中で私はまた来ない人を待つのそうして、まだ、ずっと雨はやみそうにない
20世紀初頭 タイタニック号のような広く知られた水難事故だけでなくとも客船が事故で水没した事件はあるにはある 大戦前の華やかな時代の頃私がメイドとして仕えていた男爵家もそう船での水難事故目の前で冷たくなって‥水死した男爵令嬢シャーロット嬢貿易商だった裕福な一家一家に召使はすべて水死‥そして私は‥私は身よりのない、貧しい子供、それが私 私はメイドとして豪華な彼等の暮らしを眺めながら仕えていたお嬢様の誕生日会の御祝い事に クリスマスなどの祝い事同じ年ごとのお嬢様 シャーロット様ただ、ただ本当は羨ましく‥だから事故で死んだ男爵令嬢と入れ代わってしまった罪を犯した私男爵令嬢シャーロットして 銀行の貸金庫の前本物の豪奢なダイヤや宝石の数々 男爵家の財産の一つニセモノの私が本物の宝飾品を手しているお金持ち、富豪の男爵令嬢に相応しい最新の綺麗なドレスに身を包み絹の手袋でダイヤを手に取る黄金の煌めき、眩しいほどのダイヤモンドの輝きに大粒のサファイア、ルビーの数々パスポートは新しく作り 旅券もある貿易商の仕事はたたみ、財産に代えたのだったこれから私は男爵家の生き残りとして 遠い異国で暮らしてゆく事故の時の顔の傷 花飾りの大きな帽子にベールで隠しながらそうして、男爵一家を知る者達に気がつかれぬように顔の傷を隠し、孤独の中でニセモノの男爵令嬢は暮らしてゆくのだから
それは恐ろしい鍋 呪われたチョコ鍋だった甘い香り 用意された声を上げるマンゴラゴ妖し気な屋敷そこで繰り広げられる 甘い饗宴「おほほほ この美味なる 闇のチョコ鍋の饗宴にようこそ」 悪役令嬢ならぬ アレリーニュ伯爵令嬢 リリアレン姫が高笑い前世は確かに日本人 しかし 記憶があちらこちら抜け落ちて ちょいっと妙な感じになっていた確かに 学園の部活とかで 交流を深める為に 闇鍋はある 持ち寄った材料をほおり込み 作る闇鍋材料に時にジャガイモ 時にポテトチップスうす味、またはポテチ九州醤油味 時には レンコン 時にはクッキー 時には巨大桜島ダイコン時には やはりチョコ 悲鳴を聞いてはいけないマンドラゴ え?たまにとんでもない事となり トイレに駆け込む者達 多数であった怪しげな材料を入れて 10メートル幅の大きなチョコ鍋がグツグツと煮える 甘いチョコの鍋 甘い香りに混ざって 不気味な色の煙と匂いがプンプン暴れる人食いモンスターのタケノコ 勿論 食べられる紐でがっちり縛られていた 「や、やめろ~~くおおおお お前ら食う 食ってやる」 ドボン! ぎゃああああああ!「ぎゃあああ、ぎゃああああん」と暴れて声を上げてるマンドラゴ この時、皆さま 耳栓をされている もう一人 「素敵ですお姉さま」「ほほほ そうでしょう」 こちらは妹のマリエーヌ姫 こちらも転生者であったが 性格にやや問題があった 内気ではあったのか 物陰からブツブツ言いながら 様子を見るのが定番 怪しげな実験が趣味 前世は科学者が将来の夢だったようだチョコ中毒 夕食のおかずに溶かしたチョコを入れるでんでんどろどろの不気味な魔法薬にもチョコを大量投入 本人 幸せそうに食べてるが 他の者は・・大変な事に 悲鳴を上げるマンゴラゴに熱いチョコをかけて 召し上がるあ、悲鳴を上げるチョコ漬けのマンゴラゴを耳栓しながら食べ更には 「愛する私の王子さま」そう言って怪しい料理を勧める 優しい温和な彼女の婚約者の王子は泣きながら 食べているという噂もあったり客に混ざり 彼女達の婚約者の王子たちが震えて涙を流す王族だが 貧乏で 更には革命で処刑される寸前の処を 彼女たちの父親に救われた「うふ~~~愛しい私達の王子さまに食べていただきましょうね」「えええ」声を上げる力
「クレオパトラ7世さまが使われる薔薇を献上しました」王宮出入りの商人がうやうやしく礼をして王宮の役人に告げたのであった。荷台一杯に埋め尽くされた赤い薔薇に 満足そうに役人は頷く「ふむ 予定通りだな」他の役人が呟く「予定のミルラ(没香 アフリカ原産の香木)の方は?」「少し遅れているようだ」「ローマのカエサルさまとの食事の食材は滞りなく?」「はい、肉に魚にミルク、果実 野菜 葡萄酒 ビールなどの食材は揃っております」「真珠の献上に伺いました」別の商人が声をかけた この時代 真珠はとても貴重なもの王宮の奥深くでは 美しいクレオパトラ女王がミルクを注ぎ、薔薇の花びらを入れた風呂に浸かっていた「心地良いわ、カエサルさまがお帰りになるまでに‥うふふ」「ああ、そうだったわ アレクサンドリア図書館の蔵書の方だけど」召使に話しかける女王知的な語学と話術に優れた美しい女王は笑う 第一子となるカエサリオンの誕生、懐妊は間もなく‥。他の場所では 男がミイラ作りに専念している 「高価だが必要なミルラ(没香)材料のミルラが足りない 市場で買ってこないと それから新鮮な魚も買ってくるか」高価な品物でもあるミルラ(没香)これは余談、後の時代救い主、神キリストが誕生した時に祝いとして東方の三博士に捧げられたものの一つ、他にも乳香(フランキンセンス)に黄金もあるが…。建物の石積みをしている者達は 汗だくになりながら 話をしている「買りは酒場でパンにビールだ 魚料理もいい」文明発祥の地の一つ ナイル川の恵みにあふれた砂漠の地 港がある各国から繋がる交易の地エジプト アレキサンドリアかって有ったエジプトの王朝からギリシアにあったマケドニア王国のアレクサンダー大王がファラオとして即位して後 彼が若くして亡くなり 後継者として右腕の一人プレトマオス将軍が最後のエジプト王朝の王、祖となった陸路ではアフリカに東洋からも品々が運ばれる ナイル川の氾濫により、天文学が生まれ 氾濫の後には土壌の肥えた農業に適した土農業も盛んで穀倉地帯としても豊かパン作りから生まれたビールも飲まれている広いナイル川では多くの者達が漁をしていた。
ペルシャ絨毯を織り上げてゆく 長い長い時間をかけて‥女たちが休みなく織り上げる長い時間をかけて織り上げられたペルシャ絨毯「ああ、ようやく織り上げた 嬉しいわ 高く買ってもらわないと」「そうだね お前の婚姻の資金 持参金にするのだがら」そうして織り上げたペルシャ絨毯は人を渡り、店へと運ばれてゆくオスマン帝国の首都 イスタンブール(コンスタンスノーブル)そこは西と東を分け隔てるボスポラス海峡が都市の中心を流れているともいえる昔は東ローマ帝国の都 今ではオスマン帝国の都スーク(市場)の店で「どうですか?このペルシャ絨毯」「いいね この分とあれを‥」市場には様々な品物がならんでいる 生活に必要な日曜人に高級な数々の品物など「あら、エジプトの練り香水ね」手の平程の小さな壺 練った柔らかな塊の香水金銀細工の店なども多く スパイスを取りあつかう店も市場にあるとあるスパイスの店「ようやく、胡椒を積んだ船が到着したって」「ですよ 買い付けに行かないと」スパイスの店の奥ではそんな会話も聞こえてくるスパイス‥熱帯地域の一部でしかまだ取れなった時代胡椒(こしょう)などは金と同等の価値があった同じくてん菜から取れる前の時代などでは砂糖も同等に貴重「良いペルシャ絨毯が手に入った」「胡椒の方もお父さん」「そろそろ食事にするか アッラーに感謝の祈りの後でね」「ねえ、父さん この前知り合った僕と同じくらいの子 もう出発したの?」「ああ、そうだよヴェネチアから来た商人の家族 国は違うが、私達と同じ旅の商人」「そうか マルコ、マルコ・ポーロいつかまた会えるといいけど」 夕暮れの時間がやってくる 赤く染まった街ボスポラス海峡 行きかう小舟では会話が弾む「新しく出来た公衆浴場に行こう」「ああ、評判がいい」街、都市から離れた丘では離れてゆく都市イスタンブールを眺め 隊列を成してゆく者達「マルコ」「水売りから買った水 それから果実を入れた飲み物だ」「素敵な街でしたよ父さん」